生まれたてのこじか日記

短期記憶がすぐ消える暇人の肉体から乖離して独立した“書き手”という非実在存在の備忘録 この内容が本当か嘘かは“書き手”自身にも分からない

『手を伸ばせ、そしてコマンドを入力しろ』発売おめでとうございます

 藤田先生、おめでとうございます。とても素晴らしい装丁、帯になっており、大変嬉しく思います。

 プロモーション会議に参加しました。
最初のゲラから最終ゲラまで読みました。
正直、この本は我々世代だけが分かる本だ、他の世代に渡したくない、と、最初のゲラを読んだ時に思いました。プロモーションチームとしては失格だと思うんですけど、そう思ってしまいました。

 ゲームに深く関係のあるお話です。藤田先生はプロのゲーマーでもいらっしゃいます。あとお若いです。
だから、
まず、使われている用語が我々(20代前半)世代に突き刺さる。
違法アップ/ダウンロードなど(最近漫画村潰れたりしましたが)が自分たち世代の抱える社会問題として、心に錘を吊す。自分たちの中に秘匿しておきたいように思う。自分たちの暗い部分をさらけ出されてしまうような危機感を抱いてしまう。
先生の深い教養や表現力により構築された、我々世代がノスタルジーを感じる世界観。これは学校の多読で読まされるような、古い文学作品では味わえないノスタルジーを与える。
だからこそ、自分たちだけの物にしたい。

そしてだからこそ、私は自分の同世代にもこの本を読んでほしい。この本は漫画やソシャゲにも劣らない娯楽だと私は思っています。

昨日のプロモーション会議から帰る途中に、たまらなくなって宣伝をしました。これを読んで気に入りそうな人間に「読め」と言葉を弄して囁きました。

 先生がカフカの『変身』に呪いをかけられたように、私はこの本に呪いをかけられました。

 1度目に読んだ時、私は小説を書こうと思いました。稚拙だけど、教養なんてないバカ学生だけど、書こうと思いました。

2度目に読んだ時、私は他の様々な事情が重なり、鬱病になりました。
視界の全てが真っ黒に見える中で、このゲラ原稿は一際深い闇のように見えました。それでも読みました。読み終わった後の私は、私なんかに小説なんて書けない、こんな物を読まされて、文章を書けるほど面の皮は厚くないと思いました。

そして、精神安定剤を飲み続けてようやく世界の切れ目から光が射すようになってきた頃、最終ゲラが届きました。食い入るように読みました。
そして、私なんかにはこんなに素晴らしい作品は書けないけど、それでも私にしか書けないことはあるはずだ、書こう、と思いました。

 昨日先生は、「身の切り売りをして書いている」とおっしゃっていましたが、私も切り売りをしようと思い立ちました。

 左半身が麻痺して記憶障害、まともな(ゲームやら楽器やらなどの)趣味は出来ない身体になりました。そして趣味を模索してきました。
小説を書くのは初めてだし、今どきの若者のように語彙力はないけど、それでも書くことを趣味にしてみよう、と思ったのは、『手を伸ばせ、そしてコマンドを入力しろ』にあった「文字を入力するためにパソコンを買ってもらった」シーンが本当のはじまりでした。

 私の目の前には既に(今入力しているような)端末がある、ならば書からいでか。