生まれたてのこじか日記

短期記憶がすぐ消える暇人の肉体から乖離して独立した“書き手”という非実在存在の備忘録 この内容が本当か嘘かは“書き手”自身にも分からない

お前に、お前自身のことを教えてやろう

 私は、お前は。お前はお前自身が嫌いだ。それは就活的自己分析云々関係なく、嫌いだ。

 お前は、お前の努力を認めない人が、認めない世界が、認めない自分が、嫌いだ。

 お前は、お前が愛を注いでもお前自身を愛さない人が嫌いだ。特に、家族については半ば諦めの境地に至りつつ、常に嫌っているだろう。

 お前は、お前自身が被っている、道化の皮が嫌いだ。本当に悲しい時には機能しない癖に、悲しい時にお前自身を笑わせるその皮が嫌いだ。

 お前は正直、お前よりも幸せな人間のことも嫌っているだろう。自分の掴めなかったものを持っている彼らを嫌っているだろう。

 お前は、不清潔が嫌いだ。入院してからは特に。世界のほとんどすべてが不潔に見えている。しかもその不潔か清潔かの判断は、お前自身の感情に左右されているような、身勝手な基準によっている。

 お前は、母親から受け継いだ、人恋しさが嫌いだ。母親のような、娼婦のような心持ちが嫌いだ。

 お前は正直、本当の本当に、誰かにめちゃくちゃに壊されたいと思っているだろう。今のような中途半端な壊れ方ではなく、完膚無きまでに破壊されきりたいと思っているだろう。

 お前は、お前が身に着けてきた礼儀を重んじる人よりも礼儀を蔑ろにする人間が得をする世界が嫌いだ。綺麗な物語のように、正義が悪に勝てない世界が嫌いだ。

 お前は、お前自身がその性別であることが嫌いだ。

 お前は、お前自身がそうだから余計に、頭の悪い人間が嫌いだ。特に、自分よりも頭が良くあるべき人間が頭の悪い人間だった時、強い怒りを覚えるだろう。

 お前は目上の人間も、同年代の人間も、年下の人間も変わらず好きだが、同年代の人間から目上の人間のような立場で物を言われることが嫌いだ。何故かって、馬鹿にされているように感じるから。

 お前は、この世界が嫌いだ。自分と世界は同一なのだから当然だが。
自分を暖めきれない春の日差しも、暖めるどころか脳味噌をショートさせる夏の日照りも、自分が生まれ落ちてしまった秋も、何枚毛布を被ろうが寒気が収まらない冬も、嫌いだ。

 お前は、お前は、どれだけ誰かを好こうとも、お前が好いた人は誰一人としてお前を愛さない世界が嫌いだ。

お前は、人と上手く関われないお前自身が嫌いだ。
 
お前は、お前自身の性癖として「においについてのフェチ」があることが嫌いだ。
それに伴って敏感になった嗅覚も嫌いだ。そうしてにおいが様々な記憶を想起させることも嫌いだ。外を歩いていて、ふと香ってきたにおいに、心を乱されるのが嫌いだ。

 お前は決して報われないし、あらゆるお前の努力は決して努力と見なされない。
そしてお前は死ぬことも出来ない。痛みを嫌うお前は、首吊り以外の方法を選び取れない。

 お前はそうして一生苦しむしかない。世界を、そしてお前自身を憎みながら生きていくしかない。臆病者のお前はやっぱり死ねないのだから。