生まれたてのこじか日記

短期記憶がすぐ消える暇人の肉体から乖離して独立した“書き手”という非実在存在の備忘録 この内容が本当か嘘かは“書き手”自身にも分からない

眠っている間に全てが終わっていて、気付いた時にはひとりぼっちだった

 私は私の好きが分からなかった。嫌い、は分かっていたけど好き、だけは分からなかった。

 だから決して手の届かない物/者を好いた。
自分でも理解し切れていない“好き”を投げかけても互いに害はないと思ったからだ。
身近な物/者は好くことが出来なかった。より正確には、“好き”を投げかけた時に“好きじゃない”が返ってくるのが怖くて、好くことが出来なかった。
 だから、決して叶わない恋をし続けた。自分はその人が好きなのだと、周囲に吹き込まれ続け、自分でも自分に言い聞かせ続けた。そうして、本当は好きじゃない人に恋をしているそぶりをして、本当は好きじゃない人に告白して、見事に打ち砕かれて、泣いた。
 そうしたら、好きな人を作るのが怖くなった。自分の“好き”が、決して認められないことが怖くて、誰かを好きになっても、その人は私の好きな人じゃない、と自分に言い聞かせ続けた。

 自分になんて絶対に振り向かない人を好いた。傷つくのが怖くて、“好きじゃない”が返ってくることが分かっている人を、好いた。
 それは青春において、一種の仮死状態だった。灰色の恋をし続けながら、色彩豊かな恋に焦がれた。

 仮死状態から目覚めた時には全てが終わっていて、浦島太郎状態。そうして自分の“好き”の正体に気が付いた時にはもう、ひとりぼっちだった。自分が“好き”を投げかけた時に“好き”を返してほしい人は、私のところからは遠く、遠く離れてしまっていた。

 あの時聞かれた「どうして泣いているの」の、本当の答えはそれだったのかもしれない。
私の“好き”が、もうその人に決して届くことはないことを、他ならぬ私自身が認識してしまったからかもしれない。