生まれたてのこじか日記

短期記憶がすぐ消える暇人の肉体から乖離して独立した“書き手”という非実在存在の備忘録 この内容が本当か嘘かは“書き手”自身にも分からない

女の子にはSGがあるらしい。Secret Gardenの略語だ。

 真昼、微妙に暑くて冷房を着けた。でも何だか寒くて、除湿の最弱に設定して、毛布と布団にくるまって過ごしていた。

 夕方、それでもやっぱり寒くなって、布団にくるまったまま、手を床に這わせてリモコンを探し、冷房を消した。だから今、私は毛布と布団にくるまったままの状態で布団に横たわっている。

 しばらくそうしているのだけれど、これまた面白くて、右半身は若干の暑さを感じて汗ばむくらいなのに、左半身はまだまだ肌寒く感じるらしいのだ。でも頭がぼうっとするくらいには暑いから、多分暑いんだろう。

 暑さでぼうっとした頭と、左半身のことなんか構いもせずに少し火照った右半身を知覚しながらしばらく目を瞑って、このまま晩ご飯の時間まで眠れたらいいなぁ、だなんて思っていた。
すると、するとだ。またどこからか、記憶の水が漏れ出てきた。暑さがトリガーになったのだろうか。
 すこし息苦しい記憶。誰かが舌で、私の口腔をかき回して陵辱する記憶。顔が、心臓が、下腹部が何となく熱くなる、記憶。
 やはり根は深いみたいだ。

 私は今、寂しさを抱えながらも、特別な、ひとつところにはどこにも属さず生きている。
人の温もりは、砂漠においての水のように人の心を奪うから。依存したところで満足に供給を受けられない物に依存すると、禁断症状で心が死ぬのが目に見えていたから。
 いいなぁ、とは思っていた。人の温もりを得られる人を。そして私もそうなりたいなぁ、とも思っていた。
だから、だから、だからこそ、あれは駄目だったのだ。寂しさの中に生きながら、その寂しさから目を背けている人間にとって、あれは劇薬だった。


 話は変わる。
SG、という概念がある。ゲームの話だ。女の子の心の中には「Secret Garden」…つまり秘密の花園がある、という設定。その子自身の欠点ではないものの、指摘されると恥ずかしい、そんな弱点がいくつかある。その弱点ひとつひとつをSGと呼び、女の子の心象空間においては「心の壁」のような形を取って出現する。
ある子にとってのSGは露出癖、また別の子にとっては拝金主義、と、人によりそのSGは異なる。
SGの内容こそ異なれど、それを指摘すると心の壁が崩れ去り奥へ進めるようになる、という効果が現れる。しかし、そもそもその子にとって自分のSGを指摘される/知られるのは恥ずかしい、だから必死に隠そうとする、でもその自身すらそのSGを自覚していないことが多い……。

 そういう、SGの話を思い出した。心の中でも特に柔らかくて、脆い場所、Secret Garden。別に女の子に限らず男の子にも、大人の女性にも男性にもある概念だと思う。決して欠点ではない、弱点。

 そして、自分のSG1は「寂しがり」なんだな、とようやく自覚した。ひとり○○とかには全然抵抗がなくて、映画とかカラオケとかもひとりで普通に行ける。でも、はた、と立ち止まって自分に立ち返ったり、誰かと一緒に幸せを得ている人を見たりすると途端に自分の寂しさを認識してしまい、心が締め付けられる。目を背けていた“寂しい”を相互認識してしまう。

 だから余計に、人の温もりを知ってはいけなかったのだ。人の体温を、人に求められることを知ってはいけなかったのだ。

 私は多分、あの時感じた熱に“自分が普段どれだけ寂しい生活を送っているのか”を改めて知覚させられて、今もなおあの時の熱を追い求めてしまっている。