生まれたてのこじか日記

短期記憶がすぐ消える暇人の肉体から乖離して独立した“書き手”という非実在存在の備忘録 この内容が本当か嘘かは“書き手”自身にも分からない

寝ても寝ても眠い夏

 外は30℃超えらしい。
だが室内で冷房を効かせて、誰にも見せたくないようなだらけた格好でいると、そんな暑さは露ほども感じない。
夕方になっても、カーテンを閉め切って部屋の電気を消灯しても、カーテンすらすり抜ける日光のおかげで部屋はぼんやりと明るくて、薄暗い。
真昼にうるさく鳴いていた蝉の声も落ち着いて、冷房と、自分自身の立てる衣擦れの音しか聞こえない。

「……………………っ…………ふ、はぁ………」

 全身を駆け巡る、一筋の鋭い電流のような感覚を感じた後、虚脱感の中。ふと、私は今何をしているのだろう、と、ぼんやりと霞がかった頭で考えた。
 どうしてこんなことをしているのだろう、と。

 脳裏に焼き付く記憶の焼き直しにしたって稚拙に過ぎる。出来も悪い。
遠くから、聞き覚えのある誰かの声で何かを言っているのが聞こえてくる。
「誰を思い浮かべていたの」と。
 さて、誰でしょうね…と、虚脱感が連れてきた眠気に身を委ねながら、その問いかけに応じる。
「そんなことをしていても満たされることはないよ」とその声は続ける。
 分かってるよ、うるさいな…私は眠いんだ、と、半分下りてきた目蓋の幕の、開いた残りの隙間から反論する。
「滑稽だよ」と、またその声が言葉を投げてくる。だけどもう、目蓋の幕は閉まりかけていて、もう床との隙間もほんの少ししかない。
 知っているよ、と。数cmしか残されていない隙間から、それだけ投げ返して幕を降ろしきる。

 そして私は、誰にも邪魔されることのない眠りの世界へと逃げ込んだ。
その世界には、私を責めるものなどほとんど存在しない。私にとって都合のいい世界が構築されている。
「さて、今日は何をご所望で?」今回は妖しい行商人のような形をした/毎回訪れる度に形が変わる何かが、いつものように私に問いかける。
「スコッチと、チョコレートをベースにした夢を」と私は答える。
すると、まるではじめからそこには何もいなかったかのように行商人は消えていて。今回の夢が始まるようだ。
意識は夢の中に溶けていき、思考の主導権が夢に奪われていく。
もう自分じゃ何も考えられない。思考する必要のない世界に、私は溶けて、とけて、とけ