生まれたてのこじか日記

短期記憶がすぐ消える暇人の肉体から乖離して独立した“書き手”という非実在存在の備忘録 この内容が本当か嘘かは“書き手”自身にも分からない

だから友達が少ない

 生きるのが下手くそな私は、自分とは対照的に生きるのが上手いその人のことを、ずっと羨んでいた。嫉妬していた。
それにもかかわらずその人を、一時期自分の持つ交友関係の中では(少なくとも自分から見て)最も近い存在として扱いながら生きていた。


 嫌いな訳ではない。むしろ大好きだった。
だけど眩しくて、羨ましくて、妬ましかった。
その人の放つ光は、こちらの目が潰れそうな程に強く、私は自分のことを陰だ、と思った。その人は光、わたしは陰。
自分にとって一番近いからこそ、常に比較され続け……いや、されていなかったとしても、常に自分だけは無意識に比較し続けていた。


 どうしてその人は揺るぎなく光っていられるのだろうか、と。時には、ずるい、とも思った。
その人が放つ光を強めていく度に、それに比例して自分はより濃い陰になっていくように思えた。

 そう思い込むようになってからは早かった。
抱いていた尊敬の念は嫉妬に変化した。
これ以上自分の陰が濃くならないように、と。
自分の陰を濃くする、その人の光が増さないように、と願うようになった。

 今から思い返せば、そんな簡単な話ではないと分かる。その人の光を人為的に弱めたところで、自分の陰が薄まる訳ではないと。何ならむしろ、逆に濃くしてしまうだけなのだと。
そう気が付いた時にはもう何もかも、手遅れだった。


 たまらなくなって、自分からその人に告白した。
「ずっとずっと、あなたのことを妬んでいた」と。
「あなたが持つ能力を生かして上手く事を運ぶのが、自分にはズルのように思えた」
「だから私も自分にズルをすることを許していいと思った」
「あなたにかけた迷惑は全て、“その行為を行えば迷惑になること”を知りながらも、その行為/そのズルを行いさえすれば、自分も上手く事を運べるようになるのだと信じて行動した結果発生してしまったことだ」と。正直に明かした。
告白しながら、自分はなんて惨めなのだろうと思った。そりゃあその人は光で自分は陰だわ、と納得してしまうくらい、惨めだも思った。
 告白した結果、その人は当然のように怒った。
その時の私が、昔ながらの童話のように、正直に告白しさえすれば
『そうだったのか、それなら仕方がない』と許してもらえると思っていなかったと言えば嘘になるだろう。昔ながらの童話のように、大団円で終わることが出来るとすら考えていた。
今思い返すと、なんて甘い考えなのだろうと思う。甘い、角砂糖より甘い。

 その告白からだ。
私が(少なくとも自分から見て)最も近い存在だと考えていたその人のことを、2,3年会っていない友人よりも遠い存在だ/もう互いの人生が交差することはないのだ、と思うようになったのは。
その人との距離が出会う前より開かれているように感じるようになったのは。