生まれたてのこじか日記

短期記憶がすぐ消える暇人の肉体から乖離して独立した“書き手”という非実在存在の備忘録 この内容が本当か嘘かは“書き手”自身にも分からない

その笑顔が、抑え込んでいた人間恐怖症を掘り起こした

 あの時ほど死ぬのにちょうどいいタイミングは後にも先にもなかったのに、私はどうしてあの時死ねなかったのだろうか、と考えながら鏡を見ていたら、両目から不意に涙がこぼれて落ちるのが見えた。

 正直、誰も私の生存を望んでいないように思える。私以外の全ての誰かと、そして他ならぬこの私自身が、私の生存を望んでいないように。

 毎晩布団の中で目を瞑る度に、このまま二度と目が開かないようになればいいのに、と願っている。だけど翌朝の朝日は無慈悲に私の瞼をこじ開ける。
 次の日なんて、来なければいいのにと願う。
それと同時に今日なんて、早く終わればいいのにと願う。
今日と明日の僅かな隙間に、私が逃げ込める溝があるのではないか、と、ありもしない希望を抱く。

 夜は好きだ。全てが終わった後だから。
 朝は嫌いだ。これから何かが始まるから。

 被害妄想だ、と言う誰かがいる。考えすぎだ、だから憂鬱症が治らないのだ、という誰かが。
 だけど私はどうしても、今身を置いている集団が自分を除け者にしたくてたまらないように思えて、
元からいたくている集団でもないから自分は抜けても一向に構わないと思っているのに、抜けることが許されなくて、
それでもやっぱり彼女らは頭のおかしな私のことを嘲笑って除け者にしているように思えて。
だから私はその集団から逃れるためにも、次の日が来ないことを祈るのだ。
私はあの人たちに会いたくないし、あの人たちも私なんかがいると邪魔で仕方がないのだろうし。
彼女らと顔を合わせなければならない、その日が来ないように、まずはその日の前にやってくる、今日の次の日を封鎖したくてたまらない。

 彼女らは私が抑え込んでいた人間恐怖症を掘り起こした。彼女らは私に、人間の怖さを再認識させた。
 怖い。怖い。怖くてたまらない。彼女らの下卑た笑みが、脳裏に焼き付いて剥がせない。
早く逃げたくてたまらない。逃げたい、逃げる、逃げよう。
だけど、どこに?家は逃げ場ではない。単なる牢獄だ。じゃあどこに?どこに?そう考えると、今の私にはやっぱり逃げ場すらないことに思い至ってしまって、涙が溢れて止まらないのだ。
 人が怖い。だから会いたくない。
 だけど寂しい。だから人に会いたい。
その矛盾が私の首を絞めている。会いたくても会えない人々に、思いを馳せさせる。それが苦しくて苦しくてたまらない。