生まれたてのこじか日記

短期記憶がすぐ消える暇人の肉体から乖離して独立した“書き手”という非実在存在の備忘録 この内容が本当か嘘かは“書き手”自身にも分からない

寿司

 目が霞む。話しかけてきた/こちらを見ている人の顔が識別できない。目の前の標識に書かれた文字すら読めない。

 数少ない友人の晴れ姿を拝めただけでも良しとするべきなのかもしれない。
 誰かを待っていた。特定の誰、という訳じゃないけど、誰かを待っていた。近くの自販機で温かいココアを買って飲みきって、次に温かいコーンスープを買って飲みきって、それでも会えなかった。

 暗い色の袴を着ている人を見かけた。話しかけようと思ったけど、話しかけようとして喉から出てきたのは掠れた声で、慌てて声を引っ込めた。その袴が視界に入った途端、私の数少ない語彙では形容のしようがない感情が芽生えて、しばらくしてからどこかに消えた。私にはそれが何だったのか、分からない。心地の良い感情じゃなかったことは確かだ。

 幸い、知人らの前で涙を流して醜態を晒すことにはならなかった。それは良かった。だけど会場を立ち去って、人気のない道をしばらく歩いていると、何故だか理由は分からないけど涙が溢れて止まらなかった。

 私は師匠に言われた通り、彼のお金で寿司を食べた。口を動かしているだけで、涙がこぼれてきた。
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 もういいや。これ以降の私の人生にはこれ以上ののことは起きないだろう。あとはもう苦痛だけだろう。だから、もういいや、そう思った。私はここまでだ。