生まれたてのこじか日記

短期記憶がすぐ消える暇人の肉体から乖離して独立した“書き手”という非実在存在の備忘録 この内容が本当か嘘かは“書き手”自身にも分からない

友人考

 友人とはどのような存在か、と、よく考えている。

 

 

 以前、本当に何も分からなくなって、辞書的な意味に頼ったことがあった。今思い返すとあんまりしっくりこない。

 私にとっての友人関係とは、尊敬し合える関係だと思うのだ。私には尊敬する人がたくさんいる。そしてその人たちのことを人間として好いてもいる。だから、友人でいたいと願う。

 その一方で、私は自分が相手に尊敬されるに足る人間だなんて一度も思えたことがない。少なくとも、私は自分を尊敬できない。

だから、こちらが友人だと思っていても相手からは友人だと思われていないのではと疑心暗鬼になってしまう。

 

 ある時、尊敬する師匠から自分のことを「友人」だと言われた時、泣きそうになったことを覚えている。

だって…師匠だぞ?

私が心の底から尊敬していて、もはや崇拝の域に差し掛かろうとしている、その師匠だぞ?

数ランク上の世界に生きる人がわざわざ私のような低レベルな存在の世界まで下りてきてくれたように感じて、嬉しくてたまらなかった。

 今から思い返しても、あれは幻聴か何かだったのではないかとすら思える程の衝撃であった。

 だって、今の私が考える“友人”というのはつまり自分が尊敬できる存在で、ということは師匠が私を尊敬(?)できるということで、これが衝撃でなければ何であろうか。

前述の通り、私は人に尊敬してもらえるだけの何かを何ひとつ持ち得ていない。

しかもそれを、よりによって現時点で、生きている人間の中でもっとも尊敬する人に言われたのだ。私が尊敬する、他の誰にも言われなかったことを。

 こんなに嬉しいことはない。こんなに申し訳ないこともない。

 

 私は、わざわざ師匠にまで宣言したにも関わらず、結局死ねなかった。迫り来る電車に飛び込もうとする度に、師匠の言葉と、師匠が食べさせてくれた寿司のことを思い出して、足が竦んだ。

 

 

 私は一生、師匠には勝てない気がする。あの人に追い付けない気がする。あの人にとっての友人でい続けられない気がする。