生まれたてのこじか日記

短期記憶がすぐ消える暇人の肉体から乖離して独立した“書き手”という非実在存在の備忘録 この内容が本当か嘘かは“書き手”自身にも分からない

備忘録?とりあえずのメモ

 未練の残る青春を形容する台詞として、『始まる前に終わっていた』というものがあるけれど、そんな訳はない。終われることができるのは、既に始まったものだけだ。始まりと終わりの関係性が反転することは、それら自身の性質上ありえない。

 だから、終わったということは、同時に“終わる前に”始まっていた、ということで。変数はそれらではない。そこにはない。認識者/思考者たる私の認識/思考こそが変数だ。意識も無意識も関係ない。

自分に始めた意識がなかっただけで、私は無意識の内に始めていた。

 『始まる前に終わっていた』だと被害者意識が強い。弱者気取りに過ぎる。言い換えよう。

『“間違いなく始まっていたこと”から意識的に目を逸らしている間に終わっていた』と。

 

 

 他の月よりも「何かが始まる」ことに向き、腹立つくらいに底抜けの前向きさを孕んだ月に、それもまた始まった。正確には、その月の二日目に。はじまりにお決まりの出会いを、私もまた経験した。

 当時の私は、まあまあ拗らせていて、調子に乗っていた。調子に乗ってはいたけど、その自覚くらいはあったから、“心の中で調子に乗りながら表面的には調子に乗らないこと”で自尊心を保っていた。我ながら面倒くさい奴だ。

 私は背が小さい。一方彼は背が高かった。私は、彼を見た瞬間に言いようのない劣等感に苛まれた気がする。今思えば、その劣等感のようなものこそが、彼と私との力関係を決定していた。彼は祐希と名乗り、私に社交的な笑いを寄越してきた。

 始まりは、私が彼に対して負けじと社交性を混ぜ込んだ笑みを浮かべた瞬間、定義された。