日記

 電話が鳴っている。

 いつだって体が痛くて、重たくて、息が苦しくて、起き上がることすらままならなくて。
 特定の物しか面白がれなくて、でもその面白さを自分が見下してる奴らには決して理解されたくなくて。お前らなんかに分かられたくなくって。

 

 自分が憂鬱に沈みがちな体質なのは心得ている。その上で、私のように沈まなくても済んでいる奴らのことが、何も考えず気楽に人生を楽しんでいるような奴らのことが、あまりこの言葉は使いたくないけれど───嫌いだ。

 

 なんて愚かで、単純で、暴力的なんだろう。攻撃的な善。自己中心的な善。

弱者の気持ちを分かった気でいる傲慢さ、自らの正義を信じきれる面の皮の厚さ。

 

 電話が鳴っている。

 呪いが私の体を蝕んでいく。手足を、脳味噌を、ジャンクにしていく。昨日よりずっとひどい今日があの夏から毎日続いている。

 今の私は、世間一般に言う(小さな)幸せを手に入れたと言える状態かもしれない。だけど私は全く幸せな気分にはならなくて、そのことに後ろめたさを感じているくらいで。

 

 つまらない、つまらない。誰かが、何かを面白いと思ってこちらに発信しているようだ。面白がれるポイントがどこにあるかも理解は出来る。だけど、つまらない。部屋に転がっているスコッチを舐めている方が幾分マシだってくらい、すべてがつまらない。

 

 薬を飲んでも景色は変わらない。趣味の悪い社会がグルグルと回っているだけだ。

電話が鳴っている。

 

 私の部屋に固定電話を引いた覚えはないのだけれど。

電話が鳴っている。